走る、停まる、曲がるといった車の動力性能を握るエンジンの熱を冷やしたり、温めたりするという大切な役目を担っているラジエーター。
そんなラジエーターが故障してしまうと、クーラント(冷却水)と呼ばれる液体が漏れ出し、エンジンの熱を制御することができなくなり、最悪のケースではボンネットから煙が上がり、オーバーヒート、車は緊急停止という状況に陥ってしまうこともあったりします。
そこで、今回はそんなラジエーターの故障の原因、さらにラジエーター以外でクーラント漏れが起こる原因、そしてラジエーターの修理・交換にかかる費用などについて見ていきたいと思います。
ラジエーターの故障とクーラント漏れの原因
ラジエーターの故障の原因の説明に入る前に、先にラジエーターがどういったパーツと関係しているのかということを、ざっくりと見てみましょう。
エンジンは車が動く、止まる、曲がるといった動作を行う度に、その熱の温度を調整する必要がありまして、そのエンジンの温度を調整するために水温センサーやラジエータ、各種ベルト、サーモスタット、ウォータポンプなどが連携をしながら「クーラント」を循環させているというのが、大まかな流れになります。
ラジエーターそのものの仕組みについては、下記のように冷却ファンとリザーバータンク、ラジエーターキャップなどが連動して、クーラントを循環させているという構造になっているものが多く採用されています。
画像出所/ラジエターの構造 -MonotaRO-
なお、ラジエーターがある場所は自動車の前方にあるのが一般的ですが、そうでない車種があったり、また、古い車ではリザーバータンクがなかったり、またラジエーターキャップがないタイプの車があったりと、ラジエーターと一口に言っても様々な種類があります。
また、高温多湿な日本では、輸入車の中には、国産車のラジエーターと比較して壊れやすい車種があったりします。
では、それらを踏まえつつ、ラジエーターの故障の原因には、どのようなものがあるのかについて見ていきましょう。
症状 | 考えられる原因 |
---|---|
クーラント漏れ | サーモスタットの異常 ラジエーターキャップの不良 ウォーターポンプの不具合 ラジエーター及び周辺パーツの故障 |
クーラントの減りが早い | ガスケットの故障 ラジエーターキャップの不良 ウォーターポンプの不具合 ラジエーター及び周辺パーツの故障 リザーブタンクの異常 |
ボンネットから煙が出る (オーバーヒート) | ラジエーターの故障 サーモスタットの故障 エンジンの故障 |
ラジエーターの異常 | ホース類の摩耗・経年劣化 アッパータンク・ロアタンクの破損 カシメの緩み ラジエーターキャップの不良 ラジエーターの錆 |
ラジエーターの交換や修理が必要になるケースとして最もよく見られるのは、ラジエーターが経年劣化などにより摩耗や損傷が進み、それに伴って、クーラントが漏れるというパターンです。
ラジエーターの寿命はクーラントのメンテナンスを定期的に行っていれば、10年~15年は持つ可能性は十分ありますが、ただクルマによって個体差があるのは否めず、走行環境や気候、運転の仕方、ラジーエーターの素材によっては5年前後で交換や修理というケースもあったりします。
なお、クーラント漏れの症状に対して「液漏れ防止剤」を使用することについては、あくまで応急処置としての対応に留めておくのが賢明です。
なぜなら、クーラント漏れの原因が明らかではない状態で、「液漏れ防止剤」を使い続けると、ラジエーターや周辺パーツの故障に繋がる可能性も否定できないからです。
ラジエーターの故障やクーラント漏れが悪化すると・・どんな症状が出る?
では、続いてはラジーエーターの故障やクーラント漏れが悪化すると、どんな症状になってしまうのかということを見ていきましょう。
クーラント漏れが発生している状態での走行の危険性については、漏れの具合がどの程度かによりまして、初期の症状であれば、大事に至るということは稀です。
ただ、クーラント漏れが激しい場合は、クルマのエンジンがオーバーヒートを起こし、突然クルマが動く無くなるというケースもありますので、軽視は禁物です。
中でも、下記のような高水温警告灯の点灯や点滅が表示される場合は、かなり危険な状態を示唆していますので、注意が必要になります。(状況によっては”手遅れ”の可能性も十分にあります・・)
なぜなら、高水温警告灯の点灯や点滅が表示される場合、エンジンの動力性能に関わる重大な故障が起きている可能性があるからです。
例えば、ラジーエーターの故障やクーラント漏れを放置し、夏場の暑い中、エンジンを冷やす役目の冷却水が上手く循環しないまま走行を続けていると、エンジンが止まったり、最悪の場合、エンジンそのものが故障というケースに至ることもあります。
ラジーエーターの修理や交換費用の目安のまとめ
では、続いてクーラント漏れやラジーエーターの修理や交換費用について見ていきましょう。
修理箇所 | 料金の目安 |
---|---|
タイミングベルト交換 | 10,000円~ |
ベアリング交換(ASSY) | 15,000円~ |
スパークプラグ交換 | 10,000円~ |
テンショナー交換 | 10,000円~ |
ウォーターポンプ交換費用 | 10,000円~30,000円 |
ラジエーター交換(ASSY) | 50,000円~ |
サーモスタット交換 | 20,000円~ |
エンジン交換 | 400,000円~1,000,000円 |
各種センサーなど電子制御機器の交換 | 50,000円~ |
工賃 | 別途 |
ご覧の通り、ラジーエーターの修理や交換にかかる費用は、単体のみの修理交換で終わるのか、あるいは、関連するパーツも修理交換する必要があるのかということで、かなり変わってきます。
また、ラジエーターを”修理する”ということは基本的にほぼなく、ASSY、つまり、ラジエーターそのものを新品(サードパーティー製品含む)または、リビルド品などで全交換という形が一般的です。
また、一部の輸入車など車の種類や部品によっては、交換に必要な工具に特殊な工具を要求されたりなど、部品よりも技術料や工賃の方が高額になるケースが少なくありませんので、上記はあくまで参考値としてご覧頂ければと思います。
なお、エンジンが損傷していたり、最近の自動車に多数搭載されているセンサーやそれを司るコンピューターの修理・交換に発展する場合は、リビルト部品や程度の良い中古部品などで交換をしたとしても、それでも修理費用はかなりの高額になることを覚悟しておく必要があります。
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まとめ
「水漏れ?クーラント漏れ?・・ラジエーターの故障の原因と修理・交換にかかる費用のまとめ」と題してお送りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
エンジンの動力性能にも関係が深いラジエーターに不具合が起きるというのは、走行距離や年数次第ではありますが、他の箇所にも不具合や故障が発生している可能性は決して低くはありません。
特に走行距離が長くなっていたり、車の運転の仕方や運転していた環境などによっては、クルマそのものが「寿命」を迎えている可能性もありますので、修理・交換の見積もり費用にもよりますが、車の買い替えなども天秤にかけながら、冷静に検討したいところです。