最終更新日/2017.9.18
車検切れの自動車を公道で運転することは、もちろん道路交通違反になりますが、その際の罰金と罰則、違反点数などについて説明したいと思います。
【無車検運行/車検切れの自動車を公道で走行した場合】
○道路運送車両法により6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金
○違反点数6点
【無保険運行/自賠責保険が切れている自動車を公道で走行した場合】
○自動車損害賠償保障法により90日の免停と1年6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金
○違反点数6点
【車検切れの罰金と罰則の最大値について】
まず違反点数についてですが、道路交通法施行令では、違反点数の対象となる違反が大きく3つの種類に分かれておりまして、「一般違反行為に対する基礎点数」、「特定違反行為に付する基礎点数」、「違反行為に付する付加点数(交通事故の場合)」の3つに分類されています。
下記の表をご覧の通り、車検切れ(無車検)と自賠責保険切れ(無保険)の両方とも、「一般違反行為に対する基礎点数」に分類されていまして、2つの違反の両方で捕まると、6点+6点=12点が違反の最大点数になるかというと、そういうわけではありません。
一般違反行為に付する基礎点数 | 点数 |
---|---|
無車検運行又は無保険運行、速度超過(30(高速40)以上50未満)、積載物重量制限超過(大型等10割以上)、酒気帯び運転(0.25未満) | 6点 |
参考/道路交通法施行令
では、車検切れ(無車検)と自賠責保険切れ(無保険)の両方で違反しているとどうなるかと言いますと、道路交通法施行令の附則-第九条・別表第二-に定められている通り、「違反行為の点数のうち最も高い点数(同じ点数のときは、その点数)が違反点数」となります。
つまり、車検切れ(無車検)と自賠責保険切れ(無保険)の両方で見つかった場合、
違反点数は最大で「6点」
ということになります。
道路交通法施行令附則~別表第二~ |
---|
<中略>、同時に二以上の種別の違反行為に当たるときは、これらの違反行為の点数のうち最も高い点数(同じ点数のときは、その点数)によるものとする。 |
参考/道路交通法施行令
ただし、車検切れ(無車検)と自賠責保険切れ(無保険)の両方の違反に加えて、「特定違反行為に付する基礎点数(危険運転や酒酔い運転)」と「違反行為に付する付加点数(交通事故の場合)」などがあると、違反点数の最大値はさらに高くなりますので、ご注意ください。(詳細は下記の「車検切れの自動車で事故を起こした場合」を参照)
そして、違反点数と行政処分は下記の通りとなっています。
免停期間 | 前歴なし | 1回 | 2回 | 3回 |
---|---|---|---|---|
30日 | 6~8点 | |||
60日 | 9~11点 | 4~5点 | ||
90日 | 12~14点 | 6~7点 | 2点 | |
120日 | 免許取消 | 8~9点 | 3点 | 2点 |
150日 | 免許取消 | 免許取消 | 4点 | 3点 |
180日 | 免許取消 | 免許取消 | 免許取消 | 免許取消 |
前歴なしで30日の免停期間、免停期間が過去に1度あれば、60日の免停ということになります。
〇罰金について
違反点数では、どちらか一方の高い点数が課されるという法律がありますが、罰金については、車検切れ(無車検)と自賠責保険切れ(無保険)の両方の違反が問われることになりまして、理論上は80万円が最大となります。
ただし、初犯(前歴なし)や度重なる違反ということでもなければ、20~30万円程度で済む場合がほとんどです。(書類上は、略式命令で受けるということになります。)
車検切れ車両の取り締まり強化について
車検切れ及び自賠責保険切れ状態のいわゆる無車検・無保険の自動車の運転については、数年前から国土交通省が「取り締まり・摘発・検挙を強化」することを表明していまして、これまで見逃されていた無車検運行も今後は、かなり取り締まりが厳しくなることが予想されます。
具体的には、保険加入状況管理データとナンバー読み取り装置による取り締まり(2014年からテストが開始)、民間の事業者などとの連携しての摘発、警察の街頭検査による検挙、車検切れ・自賠責保険切れの通報窓口の設置、国土交通省による立入検査・指導やハガキ送付などを実施しています。
また2017年9月15日、国土交通省はかねてより開発を行ってきた「ナンバー自動読取装置」の実現に向けて、公開デモを行いました。
車検切れ車両の取り締まり強化に向けて着々と動き出しています。
詳しくは、「車検切れの取り締まり・摘発・検挙を国土交通省が引き続き強化中」をご覧ください。
車検切れの自動車で事故を起した場合
先ほど、車検切れ(無車検)と自賠責保険切れ(無保険)だけであれば、違反点数は最大で「6点」、罰金は理論上80万円(通常は20~30万円)程度ということを説明いたしましたが、ただ事故や危険運転、酒酔い運転などが加わると、さらに違反点数や罰金が追加されることになります。
実際に、道路交通施行令では、どのように定められているのかということを下記の通り、表にまとめましたので、ご覧ください。
特定違反行為の種別 | 点数 |
---|---|
運転殺人等又は危険運転致死等 | 六十二点 |
運転傷害等(治療期間三月以上又は後遺障害)又は危険運転致傷等(治療期間三月以上又は後遺障害) | 五十五点 |
運転傷害等(治療期間三十日以上)又は危険運転致傷等(治療期間三十日以上) | 五十一点 |
運転傷害等(治療期間十五日以上)又は危険運転致傷等(治療期間十五日以上) | 四十八点 |
運転傷害等(治療期間十五日未満又は建造物損壊)又は危険運転致傷等(治療期間十五日未満) | 四十五点 |
酒酔い運転、麻薬等運転又は救護義務違反 | 三十五点 |
交通事故の種別 | 交通事故が専ら当該違反行為をした者の不注意によつて発生したものである場合における点数 | 中欄に規定する場合以外の場合における点数 |
---|---|---|
人の死亡に係る交通事故 | 二十点 | 十三点 |
人の傷害に係る交通事故(他人を傷つけたものに限る。以下この表において「傷害事故」という。)のうち、当該傷害事故に係る負傷者の負傷の治療に要する期間(当該負傷者の数が二人以上である場合にあつては、これらの者のうち最も負傷の程度が重い者の負傷の治療に要する期間とする。以下この表において「治療期間」という。)が三月以上であるもの又は後遺障害(当該負傷者の負傷が治つたとき(その症状が固定したときを含む。)における身体の障害で国家公安委員会規則で定める程度のものをいう。以下この表において同じ。)が存するもの | 十三点 | 九点 |
傷害事故のうち、治療期間が三十日以上三月未満であるもの(後遺障害が存するものを除く。) | 九点 | 六点 |
傷害事故のうち、治療期間が十五日以上三十日未満であるもの(後遺障害が存するものを除く。) | 六点 | 四点 |
傷害事故のうち治療期間が十五日未満であるもの(後遺障害が存するものを除く。)又は建造物の損壊に係る交通事故 | 三点 | 二点 |
参考/道路交通法施行令
例えば、物損事故と言われる「建造物の損壊に係る交通事故」で2点、酒酔い運転では35点ということになります。
〇車検切れ・自賠責保険切れの状態で起こした交通事故の保険料について
一般的に車検加入期間24ヶ月に対して自賠責加入期間25ヶ月といった形で、自賠責保険の有効期間は車検の有効期間より1ヶ月長いことが多いので、その期間内であれば補償されますが、その適用期間が過ぎてしまっている場合は、自賠責保険による補償がありません。
現実的には、自賠責保険が切れている状態で事故を起こした場合、交通事故の被害者に対して国が一旦、補償金を立て替えて支払い、その後、国から加害者へその補償額が請求されるという流れになります。
無車検、無保険による交通事故の場合、不法行為による損害賠償請求権となる可能性が高く、自己破産をしてもその支払いを免れることができない可能性が極めて高いです。(参考/破産法 -第二百五十三条-)
さらに、任意保険については、加入している保険会社との契約内容によりますが、無車検=整備不良と見なされる可能性もあり、その補償内容については”不利”になる可能性が、かなり高くなります。
もちろん、任意保険に未加入の場合、補償されることはありません。
また、次のような違反もあった場合、懲役も含めて実刑となる可能性があります。
ケース | 実刑について |
---|---|
前科や悪質な交通違反歴がある | 実刑の可能性が高い |
執行猶予期間中 | 裁判次第 |
交通事故で被害者がいる | 裁判次第 |
警察(パトカー)から逃走している | 裁判次第 |
無免許運転である | 裁判次第 |
免許書の偽造など | 裁判次第 |
交通犯罪と言いましても、下される刑事処分の内容によっては、その犯罪記録は様々な公的機関で残りますので注意が必要です。
交通犯罪の記録の保管期間につきましては、
内容 | 記録の保管期間 |
---|---|
罰金以下の刑(罰金・拘留・科料) | 5年 |
禁錮以上の刑(死刑・懲役・禁錮) | 10年 |
(関連法 刑法27条・31条~34条 恩赦法3条・5条 少年法60条、刑法56条・57条 犯歴事務規定2条・8条・18条) |
というのが目安となっていまして、市町村役場、検察庁、警察、公安委員会でそれぞれ、「犯罪者記録」として保管されることになります。
なお、重大な事件と判断された場合、公安委員会での記録は加害者が「死亡するまで」記録として保管される可能性があります。
車検切れ自動車による交通事故の被害者となった場合
ここまでは車検切れ車両を運転する側からの違反に関する罰則について見てきましたが、車検切れ自動車による交通事故の被害者となってしまった場合についても、触れておきたいと思います。
車検切れ自動車による交通事故の場合、ここまでの説明にてご覧いただきました通り、保険料の支払いの交渉が”難航”することが少なからず予想されます。
例えば、示談金の交渉や保険会社とのやり取り、後遺障害認定、事故補償の妥当性などです。
もし、交通事故の被害について交渉することについて心配な場合は、交通事故被害に強い弁護士などの手を借りることも検討した方がいいと思います。
参考/「交通事故サポート」
まとめ
車検切れの自動車で公道を走ることは絶対にやめた方が賢明です。ましてや交通事故を 起してしまうと取り返しのつかないことになりますので、車検切れの自動車を運転することは非常にリスクが高いと言えます。
【サイト管理人の独り言メモ】
過去に私は、ある裁判で家庭裁判所に行ったときに、重度の交通違反か交通事故で家庭裁判所に来ている人が神妙な顔つきで座っていたのを憶えています。(家庭裁判所まで来るというのは、よほどの事情があったことは想像できます。)
連れ添っていた家族の方の表情もとても暗く、私自身2~3つ言葉を交わしましたが、かなりの落胆ぶりでした。今でもその光景ははっきりと目に焼きついています。万一のことを考えますと、わずか数万円~数十万円の費用で済む車検は、切れる前に絶対に済ませた方がいいでしょう。
【車検切れの車は、車検を通さない方で売ったほうがいい?!】
車検切れの車は、実は車検を通さない方がいいってご存知でしたか?
詳しくは、「車検切れの車を高く売る簡単な方法とは?」の記事からどうぞ。
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