TVやネットのニュースなどでも度々報道される「無免許運転」
実際、どれくらいの数が毎年、検挙されているかご存知でしょうか?
警察庁が毎年発表している交通白書によれば、なんと1年間で約25,000件、毎月2,000件、一日あたり70件近くの無免許運転が検挙されているのです。
飲酒運転同様、無免許運転が引き起こす事故に対して厳罰化を求める機運の高まりから、無免許運転に対する罪は年々、重くなってきていまして、無免許運転をした本人だけでなく、運転手が無免許だと知っていて車を貸すと、その人も幇助した罪に問われるようになってきています。
今回は、無免許運転の点数と罰金、そして検挙された後の対策などについて見ていきたいと思います。
無免許運転の違反点数と行政処分
無免許は、過去は違反点数もそれほど大きくなかったのですが、2013年12月からは違反点数が大幅に引き上げられ、25点になっています。
無免許の種類 | 内容 | 違反点数 |
---|---|---|
純無免 | 過去に一度も運転免許を交付されたことのない者 | 25点 |
取消無免 | 免許が取消されたあとに運転すること | 25点 |
停止中無免 | 免許の停止中に運転すること | 25点 |
免許外運転 | 運転資格がない状態で運転すること(例/免許がないのに大型自動車を運転するなど) | 25点 |
免許外運転 | 有効期限切れの免許証を故意により運転 | 25点 |
免許外運転 | 免許証交付前の運転 | 25点 |
免許外運転 | 日本国内で有効な免許を持っていない状態での運転 | 25点 |
免許外運転 | 偽造・不正免許・他人名義の免許による運転 | 25点 |
無免許運転の種類には、上のような違いがありますが、いずれにしても違反点数が25点というのは変わりありません。
では、違反点数25点を受けた時の行政処分はと言いますと、1発で「免許取り消し」です。
免停期間 | 前歴なし | 1回 | 2回 | 3回 |
---|---|---|---|---|
30日 | 6~8点 | |||
60日 | 9~11点 | 4~5点 | ||
90日 | 12~14点 | 6~7点 | 2点 | |
120日 | 免許取消 | 8~9点 | 3点 | 2点 |
150日 | 免許取消 | 免許取消 | 4点 | 3点 |
180日 | 免許取消 | 免許取消 | 免許取消 | 免許取消 |
前歴なしで違反点数14点以下であれば、免停で済みますが、無免許運転の場合は、違反点数25点ですので、下される行政処分は免許取り消し、さらに前歴なしであっても、その後、1年以上は免許を取得できない欠格期間となる可能性が高いです。
免停中に無免許運転をする停止中無免の場合などは、さらに重い処分が待っている可能性が高くなります。
処分を受けた点数 6点+停止処分期間中無免許 25点⇒取消し2年(31点)
なお、一度出されてしまった行政処分につきましては、行政処分に不服であったとしても、よほどの緊急性を認められない限り(認められることはまずありません)、その行政処分を受けた後でないと、その処分の取り消しを求めることはできません。
行政処分の取り消しについて詳しく知りたいという方は、行政事件訴訟法(参考/総務省法令データ提供システム)を参考にして頂ければと思います。
無免許運転の罰金刑と罰則
無免許運転による罰金刑と罰則については、道路交通法第117条に定められておりまして、以下の通りとなっています。
無免許の種類 | 内容 | 刑事処分 |
---|---|---|
純無免 | 過去に一度も運転免許を交付されたことのない者 | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
取消無免 | 免許が取消されたあとに運転すること | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
停止中無免 | 免許の停止中に運転すること | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
免許外運転 | 運転資格がない状態で運転すること(例/免許がないのに大型自動車を運転するなど) | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
免許外運転 | 有効期限切れの免許証を故意により運転 | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
免許外運転 | 免許証交付前の運転 | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
免許外運転 | 日本国内で有効な免許を持っていない状態での運転 | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
免許外運転 | 偽造・不正免許・他人名義の免許による運転 | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
実際に無免許運転で検挙されたとしても、事故などがなければ、懲役がつくということはまずありませんので、刑事処分としては「罰金刑」がメインとなるかと思います。
ただ、次のようなケースでは、実刑となる可能性があるので注意が必要です。
ケース | 実刑について |
---|---|
前科や悪質な交通違反歴がある | 実刑の可能性が高い |
執行猶予期間中 | 裁判次第 |
交通事故で被害者がいる | 裁判次第 |
警察(パトカー)から逃走している | 裁判次第 |
無免許運転を長期間に渡って、日常的に行っていた | 裁判次第 |
カーナビの履歴を消すなどの証拠隠滅 | 裁判次第 |
免許書の偽造など | 裁判次第 |
交通犯罪であっても、刑事処分が下される内容によっては、その記録は様々な公的機関で残り、いわゆる「前科者」となってしまいます。
交通犯罪の記録の保管期間につきましては、
内容 | 記録の保管期間 |
---|---|
罰金以下の刑(罰金・拘留・科料) | 5年 |
禁錮以上の刑(死刑・懲役・禁錮) | 10年 |
(関連法 刑法27条・31条~34条 恩赦法3条・5条 少年法60条、刑法56条・57条 犯歴事務規定2条・8条・18条) |
というのが目安となっていまして、市町村役場、検察庁、警察、公安委員会でそれぞれ、「犯罪者記録」として保管されることになります。
しかし、重い刑が科された場合などは検察庁などにより、「本人死亡」まで犯罪記録として保管される場合があります。
無免許運転のほう助に対しての罰則
無免許運転のドライバーだけでなく、無免許運転のほう助に対する厳罰化に関する法律も2013年の12月から施行されています。
無免許ほう助 | 刑事処分 | 行政処分 |
---|---|---|
無免許運転をするおそれがある人物に自動車などを提供 | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 | 欠格期間2年(取消しなどの処分前歴がある場合は4年) |
無免許であることを知りながら自動車を運転するよう要求・依頼し、その自動車に同乗した場合 | 2年以下の懲役又は30万円以下の罰金 | 欠格期間2年(取消しなどの処分前歴がある場合は4年) |
内容としては、刑事処分、行政処分ともに、かなり厳しい内容になっております。
例えば、身内である家族が、ドライバーが無免許であることを知りながら、自分名義の車を貸したり、あるいは他人名義の車を運転させ自分が同乗したりすると、刑事処分と行政処分の対象になるということです。
実際にあったケースでは、警官2名が無免許運転のほう助で書類送検されたケースなどがあります。
実際にあった無免許ほう助 |
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無免許運転の容疑者を検挙せず、そのまま車を運転させたとして、新潟県警は16日、機動隊の男性巡査部長(28)と交通機動隊の男性巡査長(28)の2人を犯人隠避と道路交通法違反(無免許運転ほう助)の疑いで新潟地検長岡支部に書類送検し、2人を同日付で戒告の懲戒処分にした。 2人は「書類作成に自信がなかった。軽率なことをして申し訳ない」と話しているという。 発表によると、2人は交通機動隊長岡方面隊員だった1月16日午後3時頃、新潟県長岡市でシートベルトをせずに軽乗用車を運転していた同市の60歳代男性に職務質問した際、男性が「無免許運転です」と話したのに検挙せず、そのまま男性に運転させた疑い。男性は約900メートル離れた自宅まで車を運転し、その間2人は覆面パトカーで追走して見送った。2人と男性の間に面識や金銭のやり取りはなかった。 男性が9月に無免許運転をして職務質問された際、警察官に「以前は許してもらった。今回も勘弁してもらえないか」と話したことから発覚した。 県警の宮村広栄首席監察官は「警察の職務執行に対する信用を著しく損なう行為で、厳正に対処した。信頼回復に努める」とするコメントを発表した。 読売新聞-2015.12.17- |
無免許運転で交通事故を起こしたときの保険
無免許運転で交通事故を起こすと、その内容により、民事処分も受ける必要があります。
例えば、無免許運転で交通事故を起こし、そのときの被害者が死亡してしまったり、建物が損傷したりする場合は、その損害賠償の責任を負うということです。
自賠責保険と任意保険(加入していれば)は、無免許運転の事故であっても被害者や対象となる建物の損害賠償については金銭的な補償は下りますが、運転手本人の治療費や車両の修理費などについては補償されないことがほとんどです。(詳細は保険会社にご確認ください)
また、無免許運転などで事故を起こした運転手本人とは別に、無免許運転をほう助した人も民事処分を受ける可能性がありますので、注意が必要です。
実際に過去の判例では、飲酒運転をすると知りながら、飲酒をすすめた人や同乗した人にも「ほう助」の責任を求める判決が出ていますので、もし、無免許運転で交通事故を起こした場合、状況によっては、無免許運転をほう助した人も民事処分を受ける可能性は今後、大いに考えられます。
無免許運転で検挙、逮捕された後の対策
無免許運転で検挙、逮捕された後の対策についてまとめましたので、参考にして頂ければと思います。
無免許運転で検挙・逮捕された後の対策 | |
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1 | お金の工面 |
2 | 自動車保険の解約 |
3 | 自動車の売却 |
4 | 会社の就業規則・雇用契約の確認 |
5 | 必要であれば法律の専門家に相談 |
無免許運転で検挙、逮捕された後の刑事処分は、ほとんどのケースで簡易裁判となるかと思いますが、本人が反省していることを見せることは重要なポイントです。
また、近年は法令順守の機運の高まりから、会社が法令違反をした社員に対して厳しい処分を下すことが少なくありません。
就業規則や雇用契約の内容によっては、減給、降格、解雇などの可能性もありますので、内容を確認しましょう。(実際に無免許運転で検挙、逮捕された公務員が懲戒免職になったりするケースなどがニュースで報じられることもあります)
そして、就業規則や雇用契約の内容によっては会社と交渉することになりますが、解雇理由次第では、再就職などにも影響を与えることがありますので、交渉の仕方については必要に応じて専門家の意見を求めましょう。
法テラスや弁護士ドットコムなどのサイトでは法律の無料相談を行っていたりしますので、そういったサイトを利用することも検討をおすすめします。
また、前歴なしの無免許運転ではなく、実刑を下される可能性がある場合は、以下のような対策も必要になってきます。
量刑軽減のためにできること | |
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1 | 法廷で「2度と無免許運転をしない」ことを誓う |
2 | 反省文を書く |
3 | 自動車を売却する |
4 | 家族や職場の上司から情状酌量のための証言を集める |
量刑を減刑してもらうためには、本人が反省していることを示すことが重要になってきます。
法律の専門家とともに対策を検討することをおすすめします。
愛車がどれくらいの価格で売却できるのか試してみる方法
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参考サイト/「ズバット車買取比較」
参考サイト/「UcarPAC」