「先日、高速道路を走行した後、急激に燃費が悪化した・・」
「この前、突然、車から変な音が聞こえてきて・・それから燃費が急に悪くなった・・」
車の燃費性能は新車でも中古車でも時間の経過とともに、徐々に落ちていくのはどうしても避けられませんが、“急激に”燃費が悪くなるというのは、気がかりなトラブルです。
そこで、今回は自動車業界の片隅で働く筆者が車の燃費が急激に悪化する原因とその解決策についてまとめていきたいと思います。
では、早速、見ていきましょう。
自動車の経年劣化と突発的なトラブル
自動車の燃費性能が急にガクッとまるで音を立てるかのように悪化するときには、大きく分けて2つの原因が考えられまして、一つは長年の劣化が積み重なって起きる燃費悪化、もう一つは例えば車をぶつけたり、ぶつけられたりして起きる突発的なトラブルです。
順番に見ていきたいと思います。
経年劣化による燃費の急激な悪化の原因
車はアクセルを踏んで走り出すまでに、様々なパーツが機能していますが、その中でも最も燃費性能に大きく関わるのは、エンジン、そして車の頭脳とも言うべき電子機器の数々です。
上記のイメージはアクセルを踏んでから車が動き出すまでのざっくりとしたイメージですが、エンジンの点火、圧縮、混合が燃費性能に与える影響はかなり大きく、例えば、高速などで加速も減速もせずに一定の速度で走行しているのと、ストップ&ゴーを繰り返す街中ドライブでは、大きく燃費の数値が変わってきます。
そして、そんな燃費性能に大きな影響を与えるエンジンが突然、何らかの原因で本来の力を発揮できない状態に陥っているとすると・・?
お察しの通り、経年劣化による燃費性能の急激な悪化として考えられる典型的なケースの一つに、エンジンの不具合が考えられます。
実際に、自動車のエンジンは走行距離が長くなればなるほどトラブルの可能性は高くなりまして、例えば、国土交通省が行った調査では、車の走行距離が伸びるにつれてエンジンの火災が増えているという調査結果があります。
自動車が火災にまで発展するというのは極めて稀なケースですが(ちなみに、火災の主要な原因の一つとして国土交通省は点検未整備によるエンジンオイルの劣化を挙げています)、エンジンが走行距離や経年劣化とともにトラブルを抱えやすいパーツであるということはお分かり頂けるかと思います。
では、燃費性能が急激に悪化するようなエンジン・トラブルにはどんなものが考えられるかと言いますと、下記のようなケースがあります。
症状 | |
---|---|
エンジンオイル不足・漏れ | 燃費の急激な悪化・エンジンがかかりづらい・異音・マフラーから白煙 |
オイルポンプの故障 | 燃費の急激な悪化・エンジンがかかりづらい・異音・マフラーから白煙 |
バッテリーの故障 | 燃費の急激な悪化・エンジンがかかりづらい・異音 |
<参考>バルブ類の不良 | これまでよりも多少燃費が悪化・異音 |
<参考>シリンダー類の摩耗 | これまでよりも多少燃費が悪化・異音 |
<参考>スパークプラグ・プラグコードの不具合 | これまでよりも多少燃費が悪化・異音 |
特に、燃費の急激に悪化につながるエンジン・トラブルとしてよく見られるのがエンジンオイルの不足や漏れで、オイルポンプの故障も伴っていたりする場合は、最悪、車が動かなくなってしまうようなケースも考えられますので、すぐに修理屋さんやディーラーなどに状態を確認してもらいましよう。
ちなみに、燃費が急激に悪化したというほどではないものの、以前に比べてやや燃費が落ちたかも・・という場合でもエンジン回りでなにかトラブルが発生している可能性はあります。(バルブやベルト類の摩耗など)
また、エンジン周辺のパーツ以外にも経年劣化によって燃費の急激な悪化を引き起こす原因となるパーツも存在します。
例えば、エンジンの”熱”をコントロールする役目を果たすことで知られるウォーターポンプが経年劣化が原因で”ガタ”がくると、ある日、突然、燃費が悪くなってしまうということもあります。
また、ウォーターポンプ用のベルトやオルタネーター用・パワステ用などの各種ベルト(総称:ファンベルト)の劣化や、自動車の電力供給として大切な役割を果たすオルタネーターの経年劣化による故障なども急激な燃費性能の悪化の原因となることがあります。
ウォーターポンプやベルト、オルタネーターのいずれにしても、それぞれのパーツには製品としての寿命がありまして、経年劣化が原因で燃費の急激な悪化が起こる場合は、長年の使用で徐々にパーツに負担が積み重なり、ある日、その負担がトラブルに発展するという形になります。
突発的なトラブルによる急激な燃費悪化の原因
では、続いては突発的なトラブルによる急激な燃費の悪化について見ていきたいと思います。
経年劣化が原因のケースでは、典型的なケースとして「エンジン・トラブル」がありましたが、突発的なトラブルで燃費が急激に悪化するものとして最もよく見られるケースと言えば、タイヤの亀裂やパンクです。
車のタイヤの寿命は一般的なもので約3年~5年程度が目安と言われていまして、徐々に摩耗したり、空気圧が下がっていきますが、それらに加えて悪路を走行したり、走行中に石がサイドウォールにぶつかったりすることで、タイヤが損傷し、空気圧が急激に下がり、それに伴って燃費も急に悪化するというケースがあります。
燃費が急激に低下したときに、突発的なトラブルとして真っ先に疑うとすると、この「タイヤ」になるかと思います。
では、タイヤ以外にどんな突発的なケースが考えられるかと言いますと、可能性としては決して高いわけではありませんが、物損事故などで見られるケースとして、センサーの故障があります。
自動車に搭載された数々のセンサーは、それぞれが自動車の頭脳とも言うべきECUに走行状況を伝えるという大切な役割を果たしておりまして、そんなセンサーに不具合が発生すると、アイドリングが不安定になったり、エンジンの回転数に異変を起こし、その結果、アクセルを踏んでも自動車が十分に、その動力性能を引き出せなくなり、車の燃費性能が低下したり、エンストを起こしやすくなったりすることがあります。
例えば、自動車に搭載されるセンサーには下記のような種類があります。
センサーの種類 | 機能 |
---|---|
スロットルポジションセンサー | スロットル開度を検知するセンサー |
エアフロメーター | エンジンを電子制御する際の入力情報としてエンジンへの空気吸入量を計測する装置 |
車速信号 ジャイロセンサー 加速度センサ | 車両の速度を検出 |
バキュームセンサー | 吸気マニホールドの圧力(絶対圧)を電気信号として取り出し、コントロールユニットに入力する |
クランク角センサー | クランクシャフトの回転角を上死点基準で検出するセンサー |
吸気温センサー | エンジンが吸入する直前の吸気温度を検出するセンサー |
水温センサー | エンジンの冷却水温度を検出し、コントロールユニットへ信号を送るセンサー |
ノックセンサー | 異常燃焼のひとつである「ノック(ノッキング)」を検出するためのセンサー |
空気圧センサー | タイヤの空気圧の検出 |
なお、センサー以外にも「レーン・キーピング・アシストシステム」や「誤発進抑制機能」、「自動ブレーキシステム」などの様々なシステムを支えるカメラやレーダーなどのハードウェアに故障があった場合も、燃費性能の急激な悪化を引き起こすことがあります。
急激な燃費悪化の原因の解決策と注意点
ここまでご覧いただきましたように急激な燃費悪化は、その原因が経年劣化によるものでも、突発的なトラブルでも、自動車に何か緊急の不具合が起こっている可能性は決して低くありません。
特に、マフラーから白煙が上がったり、加速・停止したりする度に大きな異音が発生していたり、走行中に異臭があったりする場合は、走行そのものが危険な場合もあると言えます。
もし心当たりがある場合は、懇意にしている修理工場やディーラーへまずは相談してみましょう。
また、車を動かすのが不安・・という方は、車検がそろろそろ近ければ、「カーセンサー」などで修理と出張車検を一緒にお願い出来る業者を探してみるという方法もあります。
出張車検の場合、多少コストがかかりますが、安全や万一エンジンが故障するなどの重大なトラブルになる可能性を考えますと、貴重な選択肢の一つと言えます。
なお、輸入車などで燃費が急激に悪化した場合ですが、可能であれば、原因を究明するために、専用の検査機器があるところで点検・修理したいところです。
なぜなら、技術力が不足している業者へ依頼すると、その場限りの”対症療法”で済まされ、しばらくして同じような現象が再発することがあったりするからです。
さらなるトラブルを招く前に・・・
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参考サイト/「UcarPAC」
まとめ
「燃費が急激に悪化・・!燃費が急に悪くなる原因とその解決策と注意点のまとめ」と題してお送りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
自動車の走行性能の重要な指標の一つである燃費が急激に悪化するというのは、その原因次第ではありますが、重大な不具合や故障が発生している可能性は決して低くはありません。
特に走行距離が長くなっていたり、発売からかなりの年数が経過している車の場合、クルマそのものが「寿命」を迎えている可能性もありますので、修理費用にもよりますが、車の買い替えなども天秤にかけながら、冷静に検討したいところです。