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車のマフラーから異音や変な臭い?排気トラブルの原因と修理交換費用などのまとめ

最近、車のマフラーからの異音がうるさい・・

ここしばらく、自動車の排気が不安定で白煙が出たり、焦げ臭いがする

排気の異臭だけでなく、エンジン警告灯が不規則に点灯する

車に乗っていると、排気絡みのトラブルで上記のような症状に遭い、「どうなっているのか、分からなくて不安だ・・」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、今回は自動車業界の片隅で働く筆者が、車のマフラーから異音や異臭が出たりする「排気トラブル」の原因とその修理や交換にかかる費用について説明していきたいと思います。

早速、見ていきましょう。

異音や異臭など車の排気トラブルが起こる原因とは?

原因の具体的な説明に入る前に、自動車の排気装置の仕組みをざっくりと把握するために、排気システムにはどんなパーツが関わっているのかということを、先にイメージでご覧いただければと思います。

イメージでご覧いただきました通り、自動車の排気音やガスの浄化をコントロールする排気システムには主要なパーツとして、排気音を制御するマフラー、大気汚染物質のバランスを調整するために排気中の空燃比を検知するセンサー、排気ガスを浄化する触媒装置や排気ガス浄化装置(EGR)などがあります。

また、上記に加えて、車両全体の動きの多くを電子制御しているECU(エンジン・コントロール・ユニット)や各種電子機器も排気システムに深く関わっています。

では、それらを踏まえた上で、排気トラブルの原因には、どんな原因が考えられるかを見ていきましょう。

〇マフラーの劣化や損傷など

排気時の消音や排気の温度を下げるという大切な役目を果たしている「マフラー」

温度の高い排気が、温度の低い外気に放出されるときに膨張して大きな音が出るのを段階的に抑えるという仕組みになっていまして、マフラーやマフラーカットなどを経て音の大きさをコントロールしてます。

そんなマフラーですが、ステンレス製のものは腐食はほぼありませんが、スチール製などは経年劣化とともに腐食したりすることがあります。

また事故などで衝撃を受けて、傷や亀裂などが入り、そこから機能低下に陥るということがあったりしまして、そうなると排気する度に「異音」を発するようになります。

〇触媒コンバーター(装置)の劣化や損傷など

画像出所/自動車の触媒装置 -NHK-

ガソリン登録車の排気ガス浄化装置として、大気汚染物質の無害化という役目を担っている触媒コンバーター(単に触媒とも呼ばれる)

そんな大事な役目を果たしている触媒コンバーターですが、自動車の利用を重ねるうちに、経年劣化とともに「詰まり」や「亀裂」「損傷」などが発生して、それに伴い、排気浄化能力が低下していくということが少なくありません。

そして、触媒コンバーターの性能が低下すると、燃費性能の低下や加速性能の低下などの様々な症状が出まして、それらに加えて、排気ガスが異常に臭くなるという症状が出ることがあります。

どんなニオイかと言いますと、人によっては硫黄っぽいニオイという人もいたり、表現のしようがない異臭という人もいたりします。

排気ガスから明らかに異臭がするという場合は、この触媒コンバーターに異常が起こっている可能性があると言えます。

また、異臭の他に、燃費性能が落ちたり、加速性能が低下したりということも併発しているときは、触媒装置の劣化や損傷がかなり疑わしいでしょう。

〇オイル上がり

自動車はメンテナンス不足を原因として様々な劣化が進みますが、中でも、ピストンリングがヘタってきたり、シリンダーが摩耗することにより、燃焼室にオイルが残ってしまう「オイル上がり」と呼ばれる症状があります。

「オイル上がり」になってしまうと自動車の至るところで様々な異常が見られるのですが、そのうちの特徴的な症状として、クルマを加速させる度に、焦げたような臭いとともにマフラーから白煙が上がるというものがあります。

「オイル上がり」になると、必ず異臭や白煙が上がるというわけではありませんが、症状が”重い”ときにはそうした臭いや白煙、破裂音などが出てくることがあります。

こまめにエンジンオイルを交換したり、クルマを大事に運転していれば、走行距離が長くなっても、この症状は基本的に起きないのですが、オイル交換を怠っていたり、品質の低いオイルを使ったりしていると、「オイル上がり」が起こるというケースが見られます。

〇エンジンのトラブル

排気トラブルが起きるのは、排気装置専用のパーツが原因とは限りません。

例えば、エンジンの点火系のトラブルとして少なくない、スパークプラグ、プラグコード、イグニッションコイルなどと呼ばれるパーツが故障して上手く点火ができていない場合、アクセルを踏む度に、異音や異臭が出るといったことが起こったりします。

また、ピストンリングに問題が発生すると、エンジン内での圧縮に異常をきたし、車の加速がスムーズでなくなったり、振動や異音が起こったりするようになります。

〇ATFが原因の不具合

トランスミッションとエンジンをつなぐトルクコンバーターには、ATF=オートマチックトランスミッションフルードと呼ばれる専用のオイルが使用されておりまして、このATFが漏れていたりすると、エンジンに動力を伝えることができなくなってしまいます。

メンテナンス不足やアクセルの”ベタ踏み”が多い人によく見られる原因の一つです。

この場合、故障の症状としては、ATミッションから焦げたような臭いで異臭がしまして、最悪の場合、車が動かなくなってしまうという危険な兆候ですので、すぐに修理屋さんやディーラーなどに状態を確認してもらいましよう。

〇タービンブロー

排気量は少なく、でもパワフルな動力性能を発揮するという優れた性能でコンパクトカーなどで採用が多い「ターボチャージャー」

そのターボチャージャーに見られるトラブルに、タービンブローと呼ばれる症状がありまして、メンテナンス不足による焼き付き、異物吸入、破損等が原因で起こる症状になります。

タービンブローになると様々な症状が出るのですが、その中の症状として、エンジンからの異音やマフラーから白煙があります。

軽自動車やコンパクトカーをご利用の方の場合、このターボチャージャーにトラブルが発生している可能性が考えられます。

〇バッテリーの液漏れやバッテリー関連パーツの故障・不具合

自動車のトラブルでは最もよくあるのが「バッテリートラブル」ですが、バッテリーの液漏れやバッテリーターミナルなどに故障が発生して、異臭が発生するというケースもあります。

原因としては、交通事故などでの損傷や、交換時の修理スタッフの不手際、次で説明するオルタネーターの不良などが考えられます。

バッテリーの故障は、自動車本来の性能を引き出せないだけでなく、燃費の悪化や他のパーツへの被害拡大の原因にもなることがありますので、トラブルを抱えている場合は、すぐに修理・交換が必要になります。

〇オルタネーターの故障

バッテリーと並んで、現代の自動車の電力供給源として非常に重要な役割を果たしているオルタネーター。

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(画像参照/BOSCH)

近年の自動車に搭載されているオルタネーターの耐久性は著しく向上していますので10年、20年走っても全く問題がないということもありますが、ただ走行距離が長くなったり、車歴を重ねると、どうしても故障が発生しやすくなってきます。

オルタネーターが故障すると、最悪の場合、エンジンがかからないということも起こり得るのですが、その前兆として下記のような異音やエンジンがかかりにくいといった症状が出ることがあります。

症状考えられる原因
エンジンがかかりにくいカ-ボンブラシの磨耗による寿命
異音「ウィーン」ベアリングの劣化
異音「キーキー」「キュルキュル」ベルトのゆるみ、故障
異常「カラカラ」「カリカリ」プーリーの摩耗
エンジンがかかりにくいレクティファイヤ-の故障
エンジンがかかりにくいICレギュレ-タ-の故障

また、前述の通り、オルタネーターの不良が原因でバッテリーの過充電や漏電などが起きている場合、異臭が出ることもあります。

〇各種センサーの故障

自動車の司令塔がECUであれば、その司令塔の目となり、目まぐるしく変わる状況を確認するコーチのような役割を果たす各種センサー。

では排気トラブルに関係するセンサーにはどんなセンサーがあるかと言いますと、下記のようながあります。(関係の深い吸気系のセンサーも記載)

センサーの種類機能
O2センサー排気中の酸素濃度を測定するセンサー
排気温センサー触媒通過後の排気温度を検出するセンサー
参考/エアフロメーターエンジンを電子制御する際の入力情報としてエンジンへの空気吸入量を計測する装置
参考/バキュームセンサー吸気マニホールドの圧力(絶対圧)を電気信号として取り出し、コントロールユニットに入力する
参考/吸気温センサーエンジンが吸入する直前の吸気温度を検出するセンサー
参考/水温センサーエンジンの冷却水温度を検出し、コントロールユニットへ信号を送るセンサー
参考/ノックセンサー異常燃焼のひとつである「ノック(ノッキング)」を検出するためのセンサー

そして、異音や異臭などの排気トラブルがセンサーが原因で起こっている場合、上記のいずれか一つあるいは、複数に渡って故障しているということが考えられます。

例えば、排気温センサーに異常が発生すると、触媒コンバーターに異常が起こり、異音や異臭が発生するだけでなく、車両火災や破損を引き起こし、O2センサーなどにまで被害が拡大するということもあります。

〇それ以外に考えられる原因

ここまで触媒コンバーター、マフラー、電気系統と排気トラブルの代表的な原因を見てきましたが、その他にも排気トラブルの原因には、細かいものを含めますと、数多くあります。

以下に筆者がこれまで遭遇したケースや見聞きした症状を表にまとめましたので、ご覧ください。

排気トラブルの原因として考えられる症状補足
ディーゼル車の排気浄化装置の不具合アドブルーポンプ、アドブルーヒーターの不具合など
排気再循環装置のトラブルEGR装置の不具合など
ガソリン相性の悪いガソリンを使い続けると、異臭の原因に
オーバーヒート冷却水漏れや燃料ポンプの故障など
燃料ポンプの故障・不具合燃料がうまく補給されていないなど
各種配線の接触不良イグニッションコイルの焼損(断線)など

上記以外にもレアケースなども含めますと、究極的には排気トラブルの原因は無数にあると言えます。

排気トラブルの修理や交換費用の目安のまとめ

排気トラブルの解決方法はその原因により様々な方法が考えられますが、代表的なケースの内容と費用感を表にまとめましたので、下記にてご覧ください。

修理箇所料金の目安
バッテリー交換20,000円~30,000円前後
オイル交換1,000円~3,000円前後
オルタネーター交換45,000円~
マフラー交換(正規品)70,000円~
マフラー交換(中古・サードパーティ)20,000円~
ターボーチャージャー交換80,000円~
各種センサーの修理交換20,000円~
エンジン交換400,000円~1,000,000円
ECUやコンピューターの修理・交換100,000円~
工賃(人件費)別途

どれか一つで済む場合もありますし、また、上記の幾つかが重なる場合もありますので、修理代金や交換費用は、その原因によってかなり開きが出ることがあるというのをお分かり頂けるかと思います。

なお、エンジンやECUやコンピューターの修理・交換に発展する場合は、リビルト部品や程度の良い中古部品などで交換をしたとしても、それでも修理費用はかなりの高額になることを覚悟しておく必要があります。

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まとめ

「車のマフラーから異音や変な臭い?排気トラブルの原因と修理交換費用などのまとめ」と題してお送りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

自動車の最も重要な機能の一つである「排気」に不具合が起きるというのは、走行距離や年数次第ではありますが、広範囲に渡って不具合や故障が発生している可能性は決して低くはありません。

走行距離が長くなっていたり、車の運転の仕方や運転していた環境などにより、自動車そのものが「寿命」を迎えている可能性もありますので、修理費用にもよりますが、車の買い替えなども天秤にかけながら、冷静に検討したいところです。

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著者:伊澤仁志

自動車業界の片隅で働くエンジニア。これまでハードウェアやソフトウェアの開発だけでなく、ネットや実店舗での営業販売、マーケティングなどの仕事に関わってきました。現在はシステム設計をおこなう傍ら、ウェブメディアを中心に執筆を行っています。