省エネ運転や車の環境対策が求められるにつれて、より電子制御される形で発展してきた近年のアクセルペダル。(電気自動車以外のハイブリッドカーやガソリン登録車のほとんどは、スロットル・バイ・ワイヤと呼ばれる”システム”を採用)
電子制御化が進んだことにより私たちが受けられる恩恵もかなり大きくなっていまして、駐車場などでの操作ミスによる衝突回避を防いでくれる「誤発進抑制機能」や低速域での加速性能と高速域での燃費性能を両立させる「副変速機構付CVT」などを裏で支えていたりします。
しかし、アクセルのシステムが高度に電子制御されるようになった一方で、アクセルに故障が発生したときには、以前よりも、その原因と交換にかかる費用は複雑になっているという側面も出てきています。
そこで、今回はアクセルを踏むと、耳ざわりなうるさい異音や違和感を感じるような振動が起こる原因と症状、そして交換にかかる費用などについて説明したいと思います。
アクセルを踏んだ時に出る異音や振動の原因
まず、そもそも、アクセルを踏んでからエンジンが始動するまで、今の自動車はどんな仕組みになっているのかということを、先にざっくりと見てみましょう。
非常にざっくりとですが、アクセルを踏んでからエンジンが始動するまでの仕組みは上記のような形になっていまして、アクセルを踏み込むと、ECU(電子制御回路)、オルタネーター、各種センサーが反応し、その後、燃料装置とオイル、水を活用しながら、車を動かすという流れになります。
ECUでは、アクセルを踏んでいる力の他にも、走行スピード、エンジン回転数、周囲に障害物はないか、などを常にモニターして、車の動きを制御しているという状況です。
では、それらを踏まえた上で、アクセルの異音や振動の原因には、どのようなものがあるのかについて見ていきましょう。
症状 | 考えられる原因 |
---|---|
異音「カラカラ」「ガラガラ」 | ノッキング(燃料の異常燃焼) エンジンECU(電子制御回路)の異常 タペットの摩耗 内装部品の劣化(バルブ、ウォーターポンプなど) |
異音「ウィーン」「ウィーンウィーン」 | オルタネーターの故障 パワーステアリングの故障 ベアリングの摩耗 CVTの異常 |
異音「キュルキュル」 | ベルトの摩耗・劣化 コンプレッサーの不良 オルタネーターの故障 プーリーの故障 |
異音「キーキー」 | オイル不足 |
異音「カタカタ」 | エンジンECU(電子制御回路)あるいは制御系パーツの異常 スパーク・プラグの不良 ドライブシャフトのジョイントの摩耗 コンプレッサーの不良 |
異音「シャリシャリ」 | ノッキング(燃料の異常燃焼) ブレーキまたはブレーキシステムの故障 プーリーの故障 ウォーターポンプの劣化 |
異音「シュルシュル」 | ベルトの摩耗・劣化 ミッションの不具合 |
異音「ガガガ」 | オイル不足 エンジン内部の不良 ミッションの不具合 ドライブシャフトのトラブル |
異常および振動「ガクガク」「ガクンガクン」 | センサー部品の故障 燃料ポンプの動作不良 点火装置の不具合 スパークプラグの破損 コードの断線 CVTの故障 クラッチの故障 |
異常および振動「ガタン」「ガタンガタン」 | ドライブシャフトのトラブル ミッションの不具合 エンジンECU(電子制御回路)あるいは制御系パーツの異常 |
異常および振動「ギー」「ギギギ」 | ブレーキまたはブレーキシステムの故障 燃料ポンプの動作不良 オイル不足 |
ご覧いただきました通り、聞こえてくる音や振動の内容によって推定される原因は多種多様になっておりまして、大きく分けますと、制御系、点火系、燃料系などに分類されています。
なお、それぞれの原因が独立しているというわけではなく、それらが複合的な原因となっているというケースもあったりします。
例えば、アクセルの異音で多い「カラカラ」「ガラガラ」といった異音では”ノッキング”(※)という燃料系のトラブルが比較的よく見られますが、よくよく調べてみると、制御系や点火系にも異常があるということは決して珍しくありません。
※ノッキングとは、燃料が異常燃焼を引き起こして、エンジンの不自然な振動や異常音が出る状態のこと。
また、アクセルの故障は、自動車のメーカーや車種、走行距離、年数、ドライバーの運転の仕方などが複雑に絡み合って起こっている他、近年のアクセルが電子制御系に大きく依存するシステムになっていることによる”ブラックボックス”化という要因も重なり、原因の特定がかなり難しくなっていますので、上記の表は”よくある”ケースとしてお考えいただければと思います。
アクセルを踏んだ時に出る異音や振動が悪化すると・・
アクセルの異音や振動の修理については、オイル交換やベルト交換をすれば済んでしまうものから、高額な費用がかかるミッションの交換、エンジンの交換まで様々ですが、一つ言えることは、アクセルを踏んで出る異音や振動を放置しておくと、後で深刻な故障に発展する可能性は否定できないということです。
例えば、数千円で済むオイル交換を怠り、アクセルを踏む度に異音や振動が発生しているにも関わらず、運転を続け、最終的には高速でアクセルを思いっきり踏み込んで、エンジンが故障し、爆音とともに車が動かなくなってしまうというケースもあったりします・・・。
また、ATミッションに故障やトラブルが発生すると、エンジンに動力がうまく伝わらず、ATミッションの「滑り」が起こり、車のアクセルを踏んでも、あまり進まなくなってしまったり、最悪の場合、焦げたような異臭が出て、車が動かなくなってしまうということにもなりかねません。
また、そこまで深刻な事態にならない場合でも、どこかに故障を抱えたまま走行することは、車が本来持っている動力性能を引き出せず、燃費の悪化などにも繋がったりします。
アクセルの修理代金や交換費用について
では続いては、アクセルを踏んだときに出る異音や振動への改善策について見ていきたいと思います。
まず、「あれ?なんか違和感がある」と感じたときは、音が聞こえる箇所(エンジン?足回り?など)や振動が起きた状況などを確認し、メモなどに残しておきましょう。
後で、ディーラーや信頼できる整備工場で状況を正確に伝えるために必要になりますし、プロのスタッフであれば、どんな状況でどんな音や振動が出るかが分かれば、ある程度まで、原因を特定できる可能性が高くなるからです。
なお、電子制御部品の異常についてはODB2などから検査できるシステムが必要になりますので、修理屋さんに持ち込む場合は、テスターがあるかどうかも修理先を選ぶ判断基準とした方がいいでしょう。
では、アクセルの修理代金や交換費用をケース別にご覧ください。
修理箇所 | 料金の目安 |
---|---|
オイル交換 | 1,000円~3,000円前後 |
タペット調整費 | 5,000円~10,000円 |
ウォーターポンプ交換費用 | 10,000円~30,000円 |
オルタネーターベルト交換 | 1,000円~ |
オルタネーター交換 | 45,000円~ |
ベアリング交換 | 1,500円~ |
ステアリング交換 | 3,500円~ |
サスペンション交換 | 20,000円~ |
ドライブシャフト・ブーツ交換 | 9000円~ |
パワステギアボックス修理・交換 | 70,000円~ |
パワステポンプ交換 | 30,000円~ |
パワステコントローラ交換 | 70,000円~ |
クラッチ交換 | 60,000円~ |
コンプレッサー交換 | 50,000円~ |
ATミッション交換 | 200,000円~800,000円 |
エンジン交換 | 400,000円~1,000,000円 |
どれか一つで済む場合もありますし、また、上記の幾つかが重なる場合もありますので、修理代金や交換費用は、その原因によってかなり開きが出ることがあるというのをお分かり頂けるかと思います。
なお、パワステやエンジン、ミッションの交換に発展する場合は、リビルト部品や程度の良い中古部品などで交換をしたとしても、それでも修理費用はかなりの高額になることを覚悟しておく必要があります。
さらなるトラブルを招く前に・・・
中古車の資産価値に大きな影響を与えるクルマの「修復歴」
実は筆者は過去に、度重なる故障やトラブルが買取価格の大きな下落を招くことがあったことから、最近は修理をする前に資産価値を確認するようにしています。
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独自の仕組みから予想外の高値がつくことも多く、これまで車の買い替えのときには、何度も助けてもらいました^^
高額の修理代を払って"修理する前に"試してみるだけの価値はあります。
参考サイト/「UcarPAC」
まとめ
「アクセルを踏むと異音や振動?!故障の原因と修理・交換にかかる費用のまとめ」と題してお送りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
自動車の最も重要なパーツの一つであるアクセルに不具合が起きるというのは、走行距離や年数次第ではありますが、他の箇所にも不具合や故障が発生している可能性は決して低くはありません。
走行距離が長くなっていたり、発売からかなりの年数が経過している車の場合、「寿命」を迎えている可能性もありますので、修理費用にもよりますが、車の買い替えなども天秤にかけながら、冷静に検討したいところです。