海外赴任や長期の海外旅行、そして海外留学などに行くときに、どうするのか迷うのが、マイカーのことではないでしょうか。
海外へ行く期間にもよりますが、車を売却する、あるいは一時抹消登録して車は自宅に保管しておく、また、最近では自分の車を海外に行っている間、”貸し出す”という選択肢も出てきました。
そこで、今回はそれぞれの方法について、海外への短期・長期の赴任経験がある筆者の経験を交えながら、詳しく見ていきたいと思います。
一時抹消登録で車は自宅に保管
自分の車を売るつもりはないけど、自動車税や車検代を支払いたくないという方は、陸運局での自動車登録を一時的に抹消する「一時抹消登録」がおすすめです。(ページの後半に一時抹消登録の手続き方法と必要な書類などをまとめています)
1年から数年程度で日本に戻ってくるという前提であれば、陸運局で事前に手続きをしておくことで、帰国して車を再登録するまでは、税金や車検代などを支払わずに済みます。
万一、当初の予定よりも海外滞在期間が延びても、車のことは気にせずに済むというのもポイントです。(短期の海外赴任のはずが長期に・・・なんてことは決して少なくありません)
また、自動車保険料については、強制保険・任意保険いずれも、契約した自動車保険の会社に中断申請を申し出れば、一時抹消登録をすることができますので、忘れずに申請をしておきましょう。(任保険は等級を保持したまま)
ただし、一時抹消登録による車の保管には、注意点も存在します。
それは、運転しないことによる車のコンディションの悪化と買い取り価格の下落です。
車は運転をせずに長期間、保管しておくことによる弊害は大きく、サビが発生したり、バッテリーが上がってしまったり、タイヤが一箇所だけに圧力が掛かり続けて劣化が進んだりといった問題が起こります。
またそれに加えて中古車は、ほとんどの場合、年式が古くなればなるほど買い取り価格が安くなってしまう傾向にありますので、帰国してから、やっぱり車を売ろうと思っても、かなり査定が安くなってしまう可能性があります。
車を売却する
車の一時抹消登録に比べると、車を一旦売るという方法は、手順としてはとてもシンプルです。
必要書類を集めて、買取業者などに売却するだけですので、一時抹消登録のような煩雑な手続きも必要なく、車が古くなることへの心配や保管することのケアなども必要ありません。
ナビクル車査定やカーセンサーといったサイトを利用して、複数の業者に買い取り査定をしてもらった後、査定価格が最も高い業者に売却してしまえば、それで済みます。
車を売却する時の必要書類をまとめておきましたので、参考にしていただければと思います。
中古車を売るときの必要書類 | 内容 |
車検証 | 車検証がないと、運転することはできませんが(道路運送車両法違反)、売却することはできます。なお、紛失した場合は運輸支局で再発行してもらいます。 |
自動車納税証明書 | 自動車税を支払ったことを証明するための納税証明書です。紛失した場合は、登録した運輸支局で再発行してもらいます。 |
自賠責保険証明書 | 自賠責保険の保険料を支払ったことを証明する書類です。紛失した場合は、保険会社で再発行してもらいます。 |
リサイクル券 | リサイクル料を支払った事を証明する書類です。見当たらない場合は、自動車リサイクルシステムのサイトから再発行できます。 |
保証書 | 新車、中古車問わず、保証期間内であれば、保証書があるはずです。なお、保証書を紛失した場合は、購入した販売店に再発行をしてもらいましょう。 |
取扱説明書 | 車の取扱説明書のことです。新車の場合は必ず貰っているはずですが、中古車の場合は、ない場合もあります。なお、紛失した場合は、メーカーのホームページからダウンロードすることができます。 |
整備手帳 | これまでの定期点検の記録を記載した手帳のことです。再発行は不可となっています。 |
実印と印鑑証明書 | 実印とセットで必要になる印鑑証明書。印鑑登録を済ませていない場合は、まず実印を購入して、住民票がある市区町村の役所で印鑑登録を行う必要があります。 |
住民票 | 本人確認ための書類。 |
戸籍謄本 | 車検証に記載してある氏名が住民票に記載がない場合。 |
カーシェアサービスにオーナーとして登録
海外赴任や留学が短期のときにおすすめしたいのが、カーシェアサービスに自分の車をオーナーとして登録して、”貸し出す”という方法です。
筆者は海外赴任先のアメリカで「FLIGHT CAR」というカーシェアリングサービス(長期旅行などに出る間、マイカーを貸し出して収益を得ることができる)を知ったのですが、日本でも2015年からDeNAがはじめたAnyca(エニカ)などを中心に、徐々に盛り上がりを見せてきています。
その魅力は何と言っても、海外に行っている間に車を貸し出すことで、収益を得ることができるという点です。
車を売ったり、面倒な一時抹消登録をすることなく、車を貸し出すことで逆に収益が得られるので、1年以内の短期の海外赴任や留学を考えている人におすすめです。
Anyca(エニカ)のサイトへ進む
気になるサービス内容ですが、貸し出す車の利用料金を設定後、車のレンタルを希望するドライバーに対して、車のオーナーが貸し出しを許可するかどうかを決め、車のレンタルが決まった場合、その利用料の10%をAnyca(エニカ)に支払うという流れになります。
保険のこと、万一のトラブルのことなどはAnyca(エニカ)にお任せできます。
一時抹消登録に必要なものと手続き
一時抹消登録に必要な物を編集部にて表にまとめましたので、参考にして頂ければと思います。
一時抹消登録に必要なもの | |
---|---|
1 | 一時抹消登録申請書 |
2 | 自動車検査証(車検証 |
3 | ナンバープレート2枚 |
4 | 所有者の印鑑証明書(発行日から3ヶ月以内のもの) |
5 | 実印 |
6 | 委任状(代理人が申請する場合) |
7 | 自動車重量税還付申請書 |
8 | 自動車重量税還付用の銀行口座の情報など |
〇一時抹消登録申請書
一時抹消登録の申請書は、各都道府県の運輸支局、または自動車検査登録事務所内に置いてあるか、あるいはディーラーや整備工場などにもあったりします。
〇自動車検査証(車検証)
一時抹消登録の手続きの際には、車検証が必要になりますが、自動車ローンの支払いなどが済んでいて所有者を変更する場合は、所有者変更手続きが必要になります。
なお、所有者変更手続きをする際は、自動車検査証の記載 内容から現在までの変更の内容が確認できる書類(住民票、住民票の除票、戸籍の附票、戸籍謄(抄)本、商業登記簿謄(抄)本など)が必要になります。
〇ナンバープレート2枚
1枚では一時抹消登録を受け付けてもらえませんので、必ず2枚持参しましょう。
〇所有者の印鑑証明書(発行日から3ヶ月以内のもの)
自動車を登録した際に印鑑証明書を提出していると思いますが、本人確認のために、所有者の印鑑証明書の提出が義務付けられています。
有効期限が3ヶ月以内となっているのは、偽造やなりすましなどのリスクを考慮した上で、設定されています。
〇実印
印鑑証明書とセットで使用される印鑑のことで、住民票がある市区町村で登録した印鑑のことを指しています。
自動車の登録や末梢登録の他、不動産の売買などにも使用される大切な印鑑になります。
〇委任状(代理人が申請する場合)
一時抹消登録を行うのは、代理人に依頼することもできます。
たとえば、車の所有者が旦那さんで、一時抹消登録を奥さんにお願いしたい場合などは、委任状を使うことで、一時抹消登録を申請することができます。
一時抹消登録申請用の委任状として、pdfファイルとwordファイルの2つをご用意いたしました。下記のボタンをクリックして、ダウンロードあるいは印刷してください。
どちらのファイルもA4サイズの横で作成しています。
記入例は下記になります。
文中にある移転登録のところを、抹消登録に変更して委任状にご記入ください。
なお、代理人が抹消登録を行う場合は、代理人の印鑑証明書と実印も必要になります。
〇自動車重量税還付申請書
自動車重量税は、車検の更新の時に支払う税金のことですが、車検がまだ2ヶ月以上、残っている状態で一時抹消登録を受けるときは、自動車重量税の還付を受けることができます。
ただ、注意しなくてはいけないのは、自動車重量税還付金の受け取りの対象となるのは、一時抹消登録する自動車の保有者になります。
例えば、自動車ローンが残っていたりなどで、自動車の保有権利者がディーラーや販売業者になっている場合は、自動車重量税の還付金受給対象者はディーラーや販売業者になります。
還付申請書の提出先は、登録自動車の使用の本拠の位置を管轄する 運輸支局又は自動車検査登録事務所になります。
〇自動車重量税還付用の銀行口座の情報など
自動車重量税の還付を受ける場合は、還付金を入金してもらうための銀行の口座情報についても確認しておく必要があります。
ちなみに、還付金は以下のような計算式で求められます。
還付金額 = 納付された自動車重量税額 × 車検残存期間 ÷ 車検有効期間
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