車の品質向上や耐久性がアップしている今、車検を更新するか、それとも車検に出さないで車を買い替えるか・・・迷う・・という人も少なくないのではないでしょうか。
自動車業界の片隅で働きながら、これまでに何度も車検を受け、そして自動車の買い替えをしてきて、お客様からの相談にも乗ってきた筆者自身、その判断をするタイミングの難しさに頭を悩ましたことは1度や2度ではありません。
そこで、今回は筆者自身の経験も交えながら、車検を受けるべきか、それとも車検を更新せずに買い替えるべきかという判断をするための材料などについてまとめてみました。
車検の更新とクルマの買い替えで迷う理由
まず、筆者も含め、これまで筆者が車の買い替えの相談を受けた人が車検の更新とクルマの買い替えで迷う理由として、どんな理由があったのかということをまとめてみましたので、参考にしていただければと思います。
車検の更新とクルマの買い替えで迷う理由 |
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もったいない |
生活の変化(結婚や転職、子供の成長など) |
税金の負担増 (13年目から税金負担が重くなる) |
傷や故障が目立ってきた |
走行距離や車歴が長くなってきた |
買い替えのための費用 |
今のクルマに愛着がある |
欲しい車が発売された |
燃費が悪くなってきた |
クルマの買い替えをためらう理由は、大きく分けて2つで、”もったいない”という経済的な理由と、もう一つは乗り慣れた愛車への愛着から手放したくないという感情的な理由です。
どちらかの意見には賛同されるという方も少なくないのではないでしょうか。
筆者も経済的な理由には毎回、買い替えの度に頭を悩ましていますし(苦笑)、愛着については下のような記事を書いてしまっているほどです・・・。
一方、買い替えたい理由についても、細かい意見を集約しますと、ほぼ上記でまとめた通りで、お金がらみや傷や故障などが原因で買い替えを決めたという人が多い印象です。
また、最近になって特に増えていると感じるのは、先進安全技術への期待からの買い替えです。ブレーキの踏み間違い防止機能や高速での自動運転機能、衝突回避機能など”安全”への意識から買い替えを考える人が増加しています。
では、これらの理由を踏まえた上で、車検の更新とクルマの買い替えを判断する材料についてもう少し詳しく見ていきたいと思います。
車検の更新とクルマの買い替えを判断する材料について
上記で見た通り、車検の更新とクルマの買い替えを考える理由は人それぞれですが、その中でも、大きなポイントとなる材料を中心に説明していきたいと思います。
〇買い替えは慎重に・・乗り出し価格、燃費、エコカー減税などを事前にチェックしておきたい
燃費のいいハイブリッドカーや電気自動車へ買い替えたいという相談を受けることは少なくありませんが、実際のところ、燃費だけに着目して買い換えてもお得であることは、それほど多くありません。
例えば、燃費だけに着目しますと、買い替え費用に50万円を使って、年間の燃費が20万円掛かっている車から、燃費が10万円ほどになる車に乗り換えても、メリットが出てくるのは、6年目以降というのが現実です。
実際に、ハイブリッドカーや電気自動車などのエコカーの多くは車両価格そのものが高額であるケースも多く、燃費だけに着目して買い替えるのは、実はそれほどメリットがないことがお分かり頂けるかと思います。
むしろ、筆者はエコカーへの減税措置などもセットで検討すべきだと考えていまして、例えば、普通乗用車の新車登録から13年目以降にかかってくる税金とエコカーを新車で購入した場合の自動車税と自動車重量税を比較してみますと、その減税効果には目を見張るものがあります。
税金 | 13年経過したガソリン登録車 | エコカー(新車購入) |
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自動車税 (総排気量2リットル以下) | 45400円 | 0円(初年度) |
自動車重量税/3年 (~2,000kg以下) | 40000円 | 0円 |
上記の他に、エコカーでは取得税や揮発油税などもコストダウンできますので、燃費だけでなく、税金がどれだけ減税されるのかということを慎重に調べてから、買い替えを検討したいところです。
車検の更新の前に知っておきたい13年目以降の自動車税と自動車重量税の増税
現在、国土交通省は環境対策の一環として、燃費性能や環境性能に優れた自動車への買い替えを促進するために、車歴の古い車に関しては、増税措置を実施していまして、その影響が我々ドライバーにも重くのしかかっているというのが現状です。
ただでさえ、国際的に見ても日本の自動車に課せられている税金負担は重いというのが現状なのに、いくら環境対策とは言え・・新車登録から13年目以降のダブル増税は、”重すぎる”と言っても過言ではないと思います。
参考/自動車税制改革フォーラム
アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスといった先進諸国と比べると、日本の自動車にかかる税負担は2.4倍~40倍!という信じられないような数値となっていまして、いかに日本の自動車にかかる税負担が重くなっているかがお分かり頂けるかと思います。
13年目以降のダブルでのしかかる税金面に着目しますと、新車登録から10年以上のクルマについては、買い替えを検討するのが賢明と言えるでしょう。
リセールバリューを考慮して売りどきを逃さない
ランクルやジムニーなどのSUVは海外で根強い人気を誇っていることから、中古車でもあまり値下がりしない車種などがあったりしますが、そうした一部の例外を除きますと、ほとんどの中古車は時間の経過とともに、その価値は下がってってしまうというのは、ご存知の通りです。
そうした現実を踏まえつつ、内閣府の調査で明らかになっている車の買い替えまでの平均年数7~8年を考慮し、売却代金という点に着目するのであれば、7年より少し早目に売却するというのも一つの判断材料となるかもしれません。
ちなみに年齢別では、40歳までの世帯の場合は、おおむね平均6年前後で車を売ることを決断していまして、若ければ若いほど、車の買い替えサイクルが短いことが明らかになっています。
29歳以下の5.8年という年数は、トップクラスの買い替えまでの短さとなっています。
車のメンテナンス代は古くなればなるほど負担増に・・
どんなに頑丈な車でも、その車歴が長くなればなるほど、走行距離が長くなればなるほど、傷が目立ってきたり、故障がちになってくるのは避けられません。
特に故障に関しては、故障内容にもよりますが、近年の”ハイテク”化した自動車がソフトウェアで高度に制御されていることが多いことから、ASSY交換や専用パーツ、専用修理を求められ、修理代が高額になることが少なくありません。
例えば、筆者がある輸入車メーカーから新車を購入してから2年ほど経過したころにバッテリー交換をしようとしたところ、価格の安いサードパーティ製では内部のソフトウェアの制御の保証ができないと言われ、泣く泣く正規ディーラーにお願いし、工賃を含めてバッテリー交換で約10万円ほど請求されたことがあります・・。
高度にソフトウェアで制御されていなかった時代の車であれば、近くの馴染みの修理工場などに持ち込んで、ちょっとした故障やメンテナンスも安い金額で何とかなったものですが、今はもう自動車は高度な電子機器となってしまっていますので、故障がち・・と思ったときは、売却を決断するタイミングと言えるのかもしれません。
まとめ
「車検を迷う・・更新?買い替え?・・判断するための材料まとめ」と題してお送りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
迷っている方に少しでも参考にしていただければと思いまして、筆者自身の経験や現場ならではのリアルな意見を、ふんだんに盛り込みました。
最終的に売る、売らないどちらの判断をするにしても、費用やタイミングなどを考えながら、冷静に決断したいところですね。