「新車を購入した後、初回の車検はいつ受ければいいの?」
「新車の最初の車検はどれくらい費用が掛かるの?」
新車を購入した新人ドライバーから、自動車業界に身を置く筆者が最もよく聞かれる質問に上記のような質問があります。
まず、新車の車検の有効期間については、道路運送車両法という法律で以下の通り定められておりまして、新車の場合、普通自動車・軽自動車ともに、車検証の有効期間は新車登録から「3年」となっています。
道路運送車両法 | |
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第六十一条 | 自動車検査証の有効期間は、旅客を運送する自動車運送事業の用に供する自動車、貨物の運送の用に供する自動車及び国土交通省令で定める自家用自動車であつて、検査対象軽自動車以外のものにあつては一年、その他の自動車にあつては二年とする。 |
2 | 次の各号に掲げる自動車について、初めて前条第一項又は第七十一条第四項の規定により自動車検査証を交付する場合においては、前項の規定にかかわらず、当該自動車検査証の有効期間は、それぞれ当該各号に掲げる期間とする。 |
二 | 前項の規定により自動車検査証の有効期間を二年とされる自動車のうち自家用乗用自動車(人の運送の用に供する自家用自動車であつて、国土交通省令で定めるものを除く。)及び二輪の小型自動車であるもの三年 |
ちなみに、タクシーやバスなどの車両は1年、貨物自動車、特殊自動車は2年という風に定められています。
そして、新車の車検費用については、どこに頼むかといったことや車種、車の状態によっても費用が異なってきます。
新車の車検費用は業者によってかなりバラツキ有り
新車からはじめて受ける車検は新車登録を行ってから3年後となりますが、まだ3年しか経過していないから、そんなに費用は高くはならないだろう・・・と”タカ”を括っていると、見積もりをもらって、「えー?こんなにかかるの?」というケースは実は少なくありません。
特に輸入車や、国産の高級車などをディーラー車検に出すと、新車登録から3年目のはじめての車検であっても「20万~30万円」といった見積もりが出てくることが普通にあります。
車検費用の内訳は、ざっくりと「法定費用」と「整備費用」の2つに分かれているのですが、法定費用は自動車重量税、自賠責保険、印紙税など法律で定められているので、費用の差は出ませんが、整備費用は車検を依頼する業者によって、かなり価格差があるというのが現状です。
参考までに、法定費用は以下のような費用となっています。(エコカー減税対象車は自動車重量税が安くなります)
車 種 | 自賠責保険 | 重量税※ | 印紙代 | 法定費用合計 |
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軽自動車 | 25,880円 | 8,200円 | 1,400円 | 35,480円 |
小型乗用車(500~1,000kg) | 44,100円 | 16,400円 | 1,700円 | 62,200円 |
中型乗用車(~1.500kg) | 44,100円 | 24,600円 | 1,700円(5ナンバー) 1,800円(3ナンバー) | 70,400円(5ナンバー) 70,500円(3ナンバー) |
中型乗用車(~2.000kg) | 44,100円 | 32,800円 | 1,700円(5ナンバー) 1,800円(3ナンバー) | 78,600円(5ナンバー) 78,700円(3ナンバー) |
大型乗用車(~2.500kg) | 53,890円 | 41,000円 | 1,800円 | 96,690円 |
では、なぜ、整備費用が業者によって開きが出てしまうのでしょうか?
それは、整備の内容に差があるからに他なりません。
新車の整備点検の内容について
車検のときに受ける整備点検という言葉は非常に誤解を生みやすい言葉の一つでして、実は整備点検にも、大きく分けて2種類の意味があります。
その2つとは「予防整備」と「車検を通すための整備」になります。
予防整備とは、車のトラブルを未然に防ぐために、消耗品や部品交換も含めて、車が故障しないようにメンテナンスを行うというものになりまして、タイミングベルトやブレーキパッド、バッテリーなどが、その代表格になります。
走行距離もそれほど長くなく、走行環境も恵まれた場所で運転されている車であれば、3年程度ではトラブルの可能性は極めて低いですが、ほぼ毎日のように片道1~2時間の通勤に使っていて、途中、悪路も走行するような過酷な使い方をしている場合は、3年といってもトラブルが起きる可能性は決して、低くありません。
整備士は、そうした車の状況をチェックして、消耗品や部品の交換を行うことを提案、整備費用を見積もりをすることになるのですが、予防整備は、本質的には、安全な車の運転には欠かせない整備になります。
ただ、その予防整備も、交換部品にメーカーの純正部品を使うのか、あるいはサードパーティ製の汎用品を使うのかによって、費用が大きく変わってきたり、また、あってはならないことですが、本来交換が必要ではない部品交換をすすめてくる「過剰整備」で整備費用が高くなってしまうというケースもあります。
一方で「車検を通すための整備」の方は、検査をクリアできれば、それでOKという整備になります。
最も費用がかからない格安の車検サービスとして「ユーザー車検代行」などのサービスがありますが、そういったサービスは、まさに車検を通すために”必要最低限の整備”しか行わないので、格安の費用で車検を受けることができるというわけです。
そうしたサービスのメリットは費用の安さですが、本質的な意味での整備をしているわけではありませんので、車検を受けた直後であっても、車の調子が悪くなったりする可能性があるというのがデメリットになります。(新車の場合は可能性は低いですが・・・)
新車の車検で、どこまで求めるか?
現在の自動車は国産車、輸入車問わず、耐久性は昔に比べると著しく向上していますので、3年程度で多額の整備費用が必要になるということは、まずありません。
となりますと、新車登録から3年目の車検を受けるときには、最低限の車検で済ませ、何かトラブルが起こったときに、車検とは関係なくディーラーや整備指定工場などで整備点検を受けるという方法も選択肢としては、十分検討する価値はあると思います。
実際に、筆者は新車購入から3年目の車検を迎えたときに、走行距離が1~2万キロ程度で、全く問題なく走行できている車であれば、フランチャイズ車検やカーショップなどの車検などで充分だと思いますし、人から相談されたときは、同じように答えています。
ただし、車を運転していて違和感を感じたり、異変を感じたときは、ただちにディーラーに見てもらうことも補足するようにしています。
一方でやっぱり、新車購入後のはじめての車検だからこそ、安心を買うという意味で、しっかりと点検整備をして、整備保証もつけて欲しいという方もいるかと思います。
そういった方であれば、車を購入したディーラーのところへ車検を出して、予防整備も含めて、きっちりと車検を受けることをおすすめします。
参考までに、車検サービスを提供している業者を比較できるように一覧にまとめてみましたので、新車の車検をうけるときの参考にして頂ければと思います。
車検業者の特徴
特徴 | |
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ディーラー | ・トヨタ、ホンダ、日産、マツダ、スズキなど ・ほとんどが指定整備工場 ・車検にかかる日数は約2~3日 ・土日も営業 ・最近はコスト削減に意欲的 |
指定整備工場 | ・自社工場で車検までできる車検専門の工場 ・元々は修理屋だった会社が多い ・技術力のある会社も一定数存在する ・最近は厳しい経営環境の会社も・・ |
中古車販売店/買取店 | ・大手を除けば、指定整備工場の数は少ない ・提携先などの整備工場へ外注がほとんど ・車検にかかる日数は2日以上~ |
車検フランチャイズ | ・車検専門のチェーン店 ・元々は修理屋だった会社が多い ・店舗数多い |
ガソリンスタンド・カー用品店 | ・店舗数の多さが最大の特徴 ・大手を除けば、指定整備工場の数は少ない ・車検以外のことも相談できる |
ユーザー車検代行業者 | ・車検の検査を通すための代行業者 |
車検業者の費用と安心感について
安心感と費用 | |
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ディーラー | ・人件費・純正部品による整備などコストは高くなりがち。 ・安心感は抜群。 |
指定整備工場 | ・土日が休みだったり、意外に整備費が高かったりとコストやサービス面で他の業者に比べると、メリットが少ない。 ・整備技術についても、業者によってバラつきがあり、安心感も△ |
中古車販売店/買取店 | ・中古車販売・買取の大手であれば、豊富な実績から安心感も期待できる。 ・車検にかかる費用も安い。 |
車検フランチャイズ | ・店舗数の多さで部品調達コストを下げたり、車検に特化することでコストを限界まで削り、低価格の車検サービスを提供。 ・スピード感はあるが、安心感といった面ではやや見劣りする面も。 |
ガソリンスタンド・カー用品店 | ・店舗数の多さで部品調達コストが安く、低価格の車検サービスを提供。 ・指定整備工場の大手であれば、スピード感、安心感もある。 |
ユーザー車検代行業者 | ・基本的に陸運局での検査を代行するだけなので、コストは安い。 ・それ以外のことは期待できないため安心感は・・。 |
代表的な車検業者のサイト一覧
特徴 | |
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ディーラー | トヨタの車検 |
ディーラー | 日産-車検 |
ディーラー | HONDAの車検 |
ディーラー | マツダジャストフィット車検 |
車検業者検索 | 楽天車検 |
車検業者検索 | Goo車検 |
車検業者検索 | カーセンサー |
車検フランチャイズ | ホリデー車検 |
車検フランチャイズ | コバック |
車検フランチャイズ | カーコン車検 |
車検フランチャイズ | アップル車検 |
中古車販売店/買取店 | ガリバーの車検 |
中古車販売店/買取店 | ビッグモーター |
中古車販売店/買取店 | カーセブン車検 |
ガソリンスタンド・カー用品店 | イエローハット車検 |
ガソリンスタンド・カー用品店 | オートバックス車検 |
新車の車検費用の調べ方
では続いて、新車の車検を受ける前に、参考となる車検費用の調べ方について説明していきたいと思います。
まずリクルートが運営しているカーセンサーのサイトにアクセスします。
そして、今度は自宅がある住所の郵便番号、車のメーカー、車名を入力します。
そうすると、郵便番号から10km以内にある車検業者の店舗が検索結果にずらっと表示されます。
検索結果が出てこないときは、ページ中央にある対象距離で絞り込みのところで範囲を広げると、車検業者の店舗が出てくるかと思います。
ちなみに、カーセンサーのサイトでは、法定費用も含めてクレジットカードでの決済が可能な店舗も探すこともできたり、業者ごとの価格比較やサービス内容の比較をして、相場価格を調べるのに、大変便利です。
まとめ
「新車の車検は購入から3年後-車検費用の調べ方-」と題してお送りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
新車購入後のはじめての車検で、どうすればいいのか・・とお考えの方に、参考にしていただければと思い、記事にしました。
車検や任意保険などの自動車の維持費については、ディーラーにすすめられるまま、お願いしていると、かなりの費用になることが少なくありませんので、様々なサービスを比較検討して、選びたいところですね。(参考/無料の自動車保険一括見積もりサービス)
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。